第136章

彼は息を呑み、凛々しい眉を軽く上げた。

「これだけで俺を帰そうってのか?今夜が生まれて初めてケンタキーに足を踏み入れた夜だってこと、知ってるか?」

水原花子は胸がときめくのを感じた。女というのは時にこうも簡単に心を動かされるもので、彼が自分のために少しでも何かをしてくれたと知れば、まるで飴を食べたように心が甘くなってしまう。

「じゃあ…こんなのはどう?」彼女はピンク色の唇を軽く噛み、頬を赤らめながら彼の首に腕を回し、再び唇を重ねた。

今度は西村達也が彼女の後頭部をしっかりと抑え、長く深いキスを返した。彼女が息も絶え絶えになるまで唇を離さなかった。

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豪華な個室の中。

白...

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