第178章

「嘘つきばかりの女、覚えておけ。これはお前から誘ったことだ!」西村達也はそう言いながら、激しく彼女に口づけた。

男の勢いよいキスに、水原花子は身をよじって逃れようとしたが、まったく無駄だった。

このままではいけないと彼女は分かっていた。こんなことをして高橋健一に申し訳が立つはずがない。

彼女は思い切り彼の唇を噛んだ。西村達也の唇から血が滲み、彼は痛みに呻いた。

水原花子はその隙に彼を押しのけ、顔には脆さと無力さを浮かべた。

「西村達也、どうしてもそうするなら、バスタブに頭を打ち付けて死んでやる!」

「いいよ、どうぞ打ち付けろ」西村達也の目には一片の同情もなかった。

「ちょうどい...

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