第183章

西村達也は素早く部屋に戻った。明かりはついておらず、薄暗い月光だけが差し込む部屋は静けさに包まれていた。

彼はそのまま衣装部屋へ入り、明かりをつけた。すると、彼の服を着ていた女性が驚いて小さな悲鳴を上げ、クローゼットの扉で自分の体を隠した。その黒い瞳は驚いた子鹿のようで、小さな顔には恥じらいと怒りで赤みが広がっていた。

彼は薄い唇を邪気に上げ、

「どうした?泥棒が俺の部屋に侵入して俺の服を盗み着て、さらに睨みつけるとは」

「あなたと喧嘩している暇はないわ。外の人はきっと私を探し回ってるはず」

水原花子は焦りを隠せなかった。だが彼女の服はすべて濡れてしまい、髪も濡れたままだ。このまま...

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