第205章

この母娘は一方が布団を引っ張り、一方が殴りかかってきた。水原花子は布団を強く握りしめて手を離さなかったが、そのせいで葉田月見に何度も平手打ちされてしまった。手が空かず、顔を一発殴られ、さらに何度も引っ掻かれて、痛みで目が回るほどだった。

西村達也はこちら側で焦りを隠せなかったが、西村お婆さんを下ろそうとした途端、西村文子が急かした。

「早くおばあさんを病院に連れて行きなさいよ。本当に死なせる気?」

「あんたが男に手を出そうとするなら、その顔台無しにしてやる」幸村絵里は果物ナイフを手に取った。

葉田城一郎は恐怖で青ざめ、駆け寄って母娘を引き離した。

「正気か、お前たちは!」

「正気...

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