第211章

水原花子はネット上で多くのユーザーが西村達也が投資している関連会社の製品を自発的にボイコットしているのを目にしていた。

かつての日本の大富豪は今や国民から総スカンを食らう存在となっていた。

水原花子は複雑な眼差しでテーブルの向かいで新聞を読んでいる西村達也を見つめた。彼は濃い緑色のバスローブを身にまとい、胸元の帯はだらしなくゆるく結ばれ、その下から引き締まった胸板と小麦色の肌がほのかに覗き、成熟した男性の魅力を漂わせていた。

見たところ、今日も彼は仕事に出かけないようだ。

実際、彼が葉田月見と結婚して自分と別れることさえ同意していれば、こんなことにはならなかったはずだ。

彼が自分の...

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