第212章

包帯を巻き終わると、ドアが激しく蹴られ、勢いよく開いた。

松本時が飛び込んできて、西村達也の手の怪我を見るなり怒鳴った。

「西村達也、頭おかしいんじゃないか?一人の女のためにこんな目に遭うなんて」

「俺の事だ」西村達也は淡々と言った。

「お前を兄弟だと思ってるんだぞ」松本時は不機嫌そうに言った。

「西村亮がやってることを見てみろよ。あいつがネットで煽りまくって、今や日本中がお前を叩いてる。かつてはお前を恐れ、敬っていた名家たちも、今じゃ疫病神のように避けてる。みんな西村亮を持ち上げてるんだ。本当にそれでいいのか?」

野澤茂は微笑んだ。

「時、焦りすぎだよ。西村さ...

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