第213章

「あなたは私の友達なの?それとも彼の友達なの?」水原花子は憤慨して言った。

「へへ、ただね、一人の男が君のためなら、権力も地位も名誉も全部捨てるってことは、本当に愛してるってことじゃない?そんな男がまだ存在するなんて思ってなかったよ」

「……」

水原花子の心の平静な水面が、激しく波立ち始めた。

「正直言って、今の西村達也と比べたら、江口遥は私のことを本当に愛していたのかさえ疑問に思えてくる……」

「仕事があるから、切るわ」水原花子は彼女の言葉にますます心乱されていた。

夜、八時まで残業して新座御苑に戻ったが、西村達也はまだ帰っていなかった。

お風呂を済ませてベッドに横になり、携...

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