第42章

水原花子は販売員の手にある小さな箱を見て、顔が真っ赤になった。

「い、いえ、必要ありません」

「おお、新婚さんで子供を作る予定なんですね」と販売員は納得したように頷いた。

「うんうん」と水原花子は、これ以上勧められるのを避けるために曖昧に答え、西村達也の手を引いてその場を離れた。

「俺たち、子供を作る予定なのか?」と西村達也は意味深に彼女を横目で見た。

「適当に言っただけよ。まさか本当に使うつもり?」と水原花子は軽く言った。

「夢でも見てろ。俺が使うとしても、お前とは使わない」と西村達也は冷たく言ったが、心の中ではあの夜の水原花子の魅惑的な姿が浮かび、喉が熱くなった。

水原花子...

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