第51章

「うちの会社もこのビルにあるんだ。ちょうど出てくるのを見かけたけど、ここで何をしてるの?」藤井修は車を停め、彼女に手を振って乗るよう促した。

水原花子が乗り込み、少し恥ずかしそうに言った。「面接に来たんです。でも、落ちちゃいました」

「君ほどの実力で落ちるなんて?」藤井修は信じられないという表情を浮かべた。

水原花子は気まずそうに口元を引きつらせた。「家と喧嘩して、それに盗作の濡れ衣を着せられて、桐市の業界では評判が悪くて……」

「君が盗作するなんて、むしろ君の作品が盗作されるほうがありそうだけどね」藤井修は笑いながら言った。「ちょうど桐市に支社を開いたばかりで、チームにまだ人が足り...

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