第77章

彼のイケメンぶりは疑う余地がない、ただし性格は……まあ、お世辞も言えないレベルだ。

しかし彼がなぜここにいるのか、水原花子は瞬時にカバンを掴んで逃げ出したい衝動に駆られた。

「西村先生、藤本さん」高橋健一は驚いて立ち上がり、二人と握手した。

ただ、手が西村達也の前に差し出された時、西村達也は物憂げに濃い睫毛をちらりと持ち上げただけだった。

数秒の間があり、高橋健一が握手を拒否されたのかと思い始め、気まずさを感じ始めた頃、西村達也はようやく手を伸ばして軽く握った。「すみません、今日は気分があまり良くなくて」

高橋健一はこの西村先生と何度か顔を合わせたことがあった。特に前回、ある商事訴...

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