第91章

西村達也が病室に入ってくるのを見て、小林理沙はすぐに立ち上がった。「私、外で花子ちゃんに何か食べ物買ってくるね」

「必要ない」西村達也は冷たく口を開いた。「外の食べ物は不衛生だ。すでに七つ星レストランに予約して食事を届けさせている」

「……」

入院しているだけで七つ星レストランの料理を食べられるなんて、幸せすぎるでしょ。

彼女はベッドに横たわる水原花子に目配せして、すぐに逃げ出した。

水原花子も恐縮していた。西村達也が彼女にこんなに優しくするなんて思いもしなかった。幻覚だろうか、彼の目に一瞬優しさが宿ったように見えた気がした。

「実は、適当なものでいいのに」

水原花子はプレッシ...

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