第4章
やがて私は両親の番号に電話をかけた。
「恵蓮?」母の声は温かいけれど、心配の色が滲んでいた。「気分はどう?」
「お母さん」私の声はひび割れていた。「お父さんと一緒にこっちに来てほしいの。今すぐ」
三十分後、父の聞き慣れたノックの音がした。ドアを開けると、両親が早口のM国語でまくし立てながら駆け込んできた。
母は私を一目見るなり、息をのんだ。「恵蓮! ずいぶん痩せたじゃない。それに、ひどく疲れてるわ」
「孫娘に会わせてくれ」父はそう言って、紗織に手を伸ばした。
私は紗織を父に手渡した。娘を抱く父の表情が和らぐのを、私は見ていた。だが、その表情がすぐに変わった。
「この顔の...
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