第10章
藤原英世は、彼女が動かないのを見て、わずかに眉をひそめた。
西原七海ははっとしてベッドから飛び降りると、乱れた様子のまま服を拾い集め、慌てて身につける。
「じゃあ、わたしは客間で休むね。どこか苦しかったら、いつでも呼んで」
藤原英世はくぐもった声で「……ああ」とだけ返した。
西原七海は藤原英世の部屋を出て、そっと扉を閉める。
彼の視界から外れた途端、その目にどろりとした怨念が滲んだ。
藤原英世のあの態度は、女にとってはこれ以上ない屈辱だった。
西原七海は、自分の色香にはずっと自信があった。けれど今夜ばかりは、藤原英世の前で完全に鼻をへし折られた気分だった。
どうしても分からな...
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