第101章

療養院で起きた一件について、藤原英世は杉浦憲之介に何も告げなかった。知れば、杉浦憲之介が胸を痛める――そう思ったからだ。

彼が伝えたのは、療養院で夏目夢子と話したが、新しい収穫はなかった、ということだけ。

杉浦憲之介も、特に落胆した様子はない。もともと大きな期待などしていなかったのだろう。

二、三度咳き込んでから、杉浦憲之介は別の話を切り出した。

「そういえば今回、若い子を連れてきたそうじゃないか。もしかして、好きな子か? お前もいい歳だ。早く身を固められたら、おじいさんも安心する」

杉浦憲之介は、藤原松人が藤原英世と田山夜子の縁談を望んでいることを知らない。だからこれは、年長者と...

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