第11章
藤原英世の姿を見た瞬間、昨夜の出来事が一気に脳裏へ甦った。
西原雨子は全身が強張る。
――まさか。昨日、酔った勢いで起きたことを思い出して、わざわざ清算しに来た……?
雨子は慌てて取り繕った。
「社員食堂に不満があるわけじゃありません。ただ、今日はあまり食欲がなくて……」
藤原英世が小さく笑う。
「食欲がない? 誰かに嫌なことでもされたか」
その眼は、表面の言い訳なんて薄皮みたいに剥いで、奥まで見通してくる。
雨子は、彼の前では何ひとつ隠せない気がした。
言うべきか、言わないべきか。たった二秒、迷って――結局、口を開いた。
どうせ少ししたら、K市の上流はみんな知る。
「...
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