第114章

西原雨子が口づけで息が詰まりそうになった、そのときようやく、藤原英世は彼女を解放した。

雨子は大きく息を吸い込む。酸素が足りなかったせいで頬は朱に染まり、鼓動はやけに速い。苦しそうなのに、妙に艶っぽく見えてしまうのが腹立たしい。

「――今ので、俺が何を言ってるか分かったか?」

藤原英世もまた、胸の奥で燃え上がった欲をねじ伏せるように、掠れた声で言った。

雨子は彼の胸を押し返し、手の甲で唇を乱暴に拭う。

「分かんない!」

次の瞬間、藤原英世の手が彼女の手首を掴んだ。

「……っ」

雨子はびくりと肩を跳ねさせ、反射的に言い直す。

「わ、分かった!」

藤原英世は呆れたように息を吐...

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