第115章

仕事を終えたその夜、西原雨子のもとに藤原英世からの詰問も怒りも、もう届かなかった。

雨子はそれを気にも留めず、いつも通りに身支度を整えて眠った。むしろ、ここ数日よりよく眠れたくらいだ。

目が覚めると簡単に支度をし、西原へ向かう。

家を出る前、ふと思い立って、藤原英世から贈られた高価なバッグを引っ張り出した。

――あれの価値を相殺するために、どれだけ金を買ったと思ってるの。

思い出しただけで胸がきゅっと痛む。雨子は小さくため息をつき、荷物を全部そのバッグに詰め込んだ。

このバッグは、壊れるまで使い倒さないと元が取れない。あの金塊たちに顔向けできない。

ほどなく、西原の門が見えてき...

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