第129章

コンテストが終わると、西原雨子が会場を出る前に、数人の審査員がわざわざ近づいてきて、向こうから連絡先の交換を申し出た。

西原雨子が断る理由はない。けれど、角山乃輔はさっさと立ち去ってしまい、彼の連絡先を聞く間もなかった。胸の奥に、ほんの少しだけ悔いが残る。

帰宅後は軽く身支度を整え、そのまま休んだ。翌日もいつも通り出社する。

会社に着いた瞬間、社員たちの視線が一斉に集まった。

サインを求めてくる者までいる。

入口の警備員の老人に至っては、「今後、ドラマとか映画に出る予定はあるの?」などと真顔で聞いてきた。

西原雨子は苦笑しながら適当に受け流し、研究室へ向かった。

オフィスでも、...

ログインして続きを読む