第19章

西原雨子は早口で言った。

「こっちはまだちょっと用事があるの。お父さん、もう切るね。また夜に」

そう言って、すぐに通話を切る。

もう1秒でも聞いていたら、感情が決壊してしまいそうだった。

ふう、と深く息を吸い、雨子は自分のデスクの上を見渡した。私物や書類があれこれ積まれている。

今この場で、ひとりで全部抱えて運び出すのは、さすがに惨めすぎる。

まるで追い出されるみたいで。

雨子は私物だけを分け、岡村宮子にメッセージを送った。

「宮子、私の荷物、ひとまずそっちに置かせて。プロジェクトが終わったら会社に持ってきてくれると助かる」

続けて、重要な資料やファイルを整理して机の上にま...

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