第36章

彼女は、少しも胸を打たれないのだろうか。

藤原英世はむっとした顔で言った。

「連中がひねり出したテーマなんか、俺のアイデアと比べものになるか? お前、鑑賞眼ってものがないのか」

西原雨子は呆れ半分で、適当に相槌を打つ。

「はいはい、さすが藤原様です」

「ちゃんとしまっとけよ。一生の記念だ。俺がいなきゃ、こんな『人生の一枚』なんて手に入らなかったんだからな」

藤原英世はふんと鼻を鳴らした。

西原雨子は一瞬、本気でその場で写真を捨ててやりたくなった。

だが、すうっと息を吸って衝動を押し殺し、藤原英世の監視するような視線の下で、写真をバッグにしまい込む。

それでようやく、藤原英世...

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