第49章

西原でも藤原でも、研究する場所がどこであれ、与えられるテーマは結局いつも他人が決めたものだ。自分に変える権利はない。ただ、与えられたものを遂行するだけ。

けれど彼女はずっと、本当にやりたかった。

自分だけの研究テーマを。

卒業のとき、先輩に言われた言葉を、今でも覚えている。

お前の才能なら、将来は応用分野で特許をいくつも取れるはずだ――と。

応用分野は、基礎科学とは違う。

基礎科学で何かを打ち破るのは、ひどく難しい。だが、いったん突破できれば、歴史に名を刻み、人類の科学における最高峰の栄誉に届くような偉業になる。

西原雨子の志は、そこまで壮大ではない。

西原海人の現場主義に影...

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