第64章

その一言は、一瞬で田山夜子の癇に障った。

彼女はがたんと立ち上がると、冷えきった目で西原七海を睨み据える。

「あなたと藤原英世がどういう関係だろうと関係ないわ。あの人が娶るのは、私だけよ! 少しでも恥を知ってるなら、今すぐ自分から出ていきなさい」

西原七海は呆然としたまま固まり、それでも眉を寄せて言い返した。

「田山さん……どうしてそんなに理不尽なんですか? 分かっています、田山さんも英世さんのことがお好きなんですよね。でも、気持ちは無理にどうこうできるものじゃ――」

そう口にしながらも、彼女の脚は小刻みに震えていた。

家柄で張り合えば、自分が田山夜子に敵うはずがない。そのくらい...

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