第78章

西原雨子は隠す必要もないと思い、正直に言った。

「……もう渡したよ」

西原七海が、ぴたりと固まる。

もう渡した?

だが七海が張りつけておいた尾行役は、夜から朝まで一晩じゅう待ちぼうけを食らっただけで、西原雨子の姿など一度も見ていないのだ。

西原七海は、怒りで胸の奥がぎゅっと詰まるような感覚を覚えた。

それでも感情を押し殺し、いかにも何でもないふうを装う。

「自分で手渡したの? ……彼の家に行ったの?」

西原雨子は、なぜそこまで細かく訊かれるのか分からず、気まずそうに答えるしかなかった。

「うん……私が直接、渡したよ」

その瞬間、西原七海の頭の中で一本の線がつながる。

―...

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