第79章

父のそんな言葉を聞いて、西原七海は胸の内で苦く笑った。

もし自分と藤原英世の仲が本当に良好なら、両親に会わせるどころか、明日にでも入籍していいと言われたら喜んで頷く。そういう自信だってあった。

けれど現実は違う。

藤原英世は、彼女にほとんど情を向けていない。

自分がここまで彼のそばにいられたのは、あの夜の偶然にすがっただけだ。

期待と喜びを隠しきれない父の目を見て、七海はさすがに突き放せなかった。少し考えてから言う。

「分かった。英世さんには話してみる。でも、いつも忙しい人だから……来られるかどうかは分からないよ」

父を見送ったあと、七海はしばらく迷ってから藤原英世に電話をかけ...

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