第85章

会社に着くと、普段はそこまで親しくない同僚たちまでが、彼女に視線を向けてきた。

興味と探るような目。ひそひそ声。

中には年下で図太い子もいて、スマホを片手に近づいてくる。

「西原さん、写真いいですか? 一緒に!」

雨子は苦笑して、やんわり首を振った。

「ごめんね。そういうのはちょっと……」

彼女は藤原グループのただの社員だ。芸能人でも、アイドルでもない。

席に着くなり、岡村宮子の弾んだ声が耳元で炸裂した。

「雨子さん! やばい、バズってますよ! ネットで『日本一の美人学者』って呼ばれてるんですけど!」

「……っ」

雨子は顔が熱くなるのを感じながら、慌てて手を振った。

「...

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