第96章

藤原英世は杉浦福美としばらく言葉を交わしているうちに、ふと気づいた。――杉浦福美の様子が、どこかおかしい。

彼女と接点は多くない。子どもの頃に数度顔を合わせた程度で、性格まで把握しているわけでもない。

それでも、どこか上の空だということくらいは分かった。

それに杉浦福美は――西原雨子のいる方向へ、何度も視線を送っている気がした。

十分ほど話したところで、杉浦福美が手配していた病院設備の担当者がドアをノックし、現場の確認に案内できると告げた。

藤原英世は少し考え、西原雨子に言う。

「君は先に行って。俺は杉浦院長と、もう少し話しておく」

西原雨子は目を瞬かせた。――自分ひとりで?

...

ログインして続きを読む