第6章 永遠に恥じる

レースのカーテン越しに、朝の光が寝室へと差し込んでいた。

はるかが目を覚ますと、隣のベッドは、とっくに空っぽだった。

一也の温もりが残る枕のくぼみを、そっと指でなぞる。自嘲めいた笑みが、無意識に口元に浮かんだ。

渋谷のカフェで鈴木紗織と会ってからというもの、夫である松原一也は、どこか不自然なほど優しくなった。

そのよそよそしい優しさが、かえってはるかの心をざわつかせる。

「はるか」

ドアの向こうから、一也の声がした。

彼女ははっとして、読んでいた日記帳を枕の下に隠す。

今日で、九十九日目。

明日は、結婚記念日。

「はい」

痛む身体をゆっくりと起こし...

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