第100章

そこは帝都で最も格式高い山の手の高級ヴィラエリア。地価は飛び抜けて高く、数十億円は下らない超一等地だ。

不動産の権利書にある所有者欄には、はっきりと「沈川澪」の文字が記されていた。

「この前、物件を見に行っていたじゃないか」藤原司は彼女を見つめながら言った。その口調には、彼自身も気づいていない機嫌を取るような焦りが滲んでいた。「ここのマンションじゃ物足りないとか、藤原の本家はしきたりが煩わしいとか……それなら構わない。このヴィラは二年前に俺が買っておいたものだ。ずっと君の好きなテイストで内装を整えさせていた。君の名義にしてある、君個人の財産だ」

彼は一歩近づき、彼女の手を取ろうとした。...

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