第104章

「行かない」藤原司は冷ややかに遮った。その声には一欠片の温度もなかった。

朝倉月乃は息を呑み、たちまち慌てたような声を上げた。

「司、どうしたの? 何かあった? 今日はうちの……」

「朝倉月乃」藤原司の口調には、隠しようのない嫌悪と冷酷さが滲んでいた。「朝倉家が世間に吹聴しているあのふざけた噂だが、じきに藤原グループの法務部から内容証明を送って訂正させる。今後、朝倉家のことには一切関わらない。二度と電話してくるな」

言い捨てるなり、彼はためらいなく通話を切った。

電話の向こうで、華やかなオートクチュールのドレスに身を包んだ朝倉月乃は、スマホから響く無機質な切断音を聞きながら、さっと...

ログインして続きを読む