第24章

壁に手をつき、もう少しだけ耐えようとしたが、二歩も歩かないうちに限界が来た。体から力が抜け、ふらりと横へ崩れ落ちる。

予想していた冷たい床の衝撃は来なかった。代わりに、硬くて温かい腕の中にすっぽりと収まっていた。

その胸からは、シダーウッドの清涼な香りがふわりと漂う。清潔で、静謐。タバコや酒の匂いも、他の女の香水も一切混じっていない。

沈川澪は薄れゆく意識の中でひどく狼狽え、どうにか自力で立とうともがいた。無意識のうちに謝罪が口をついて出る。

「ごめんなさい、ごめんなさい、私……」

誰が支えてくれたのか確かめようと、重い頭を必死に持ち上げる。

ぼやけた視界に、冷たく整った輪郭と彫...

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