第36章

沈川澪の顔色は一瞬にして蒼白になり、あの屈辱的なキスが再び脳裏に蘇った。

「離して」彼女は身をよじって抵抗する。

藤原司は手を離すどころか、さらに体重をかけて彼女を押しつぶすようにした。大きな手で彼女の掌をきつく押さえ込み、ドアノブごと封じ込めて、逃げ道を完全に断ち切る。

「今夜は、どこへも行かせない」

沈川澪は彼を拒むように硬い胸板へ両手を当てたが、掌から伝わってくる熱に火傷しそうになる。

彼女は顔を背け、突き刺さるような彼の視線を避けながら、哀願にも似た冷たい声で言った。

「藤原司、離して。こんなことして、何が楽しいの?」

「沈川澪、こんな時間にフロントを煩わせるな」藤原司...

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