第40章

藤原司の足取りは重く、そして急だった。磨き上げられたレストランの大理石の床を革靴が叩き、鈍い足音が響き渡る。

彼の視線は、沈川澪の身の横で丸められた腕に釘付けになっていた。その深い瞳の奥には、彼自身すら気づいていない焦燥が渦巻いている。

「司、月乃の足首、かなり腫れてるぜ。先に島の医務室へ連れて行ってやれよ」

普段からつるんでいる遊び仲間の御曹司が歩み寄り、沈川澪を一瞥してすぐに目を逸らす。その口調には、当然と言わんばかりの軽蔑が混じっていた。

「スープを被ったくらい、服を着替えりゃ済む話だろ。月乃の怪我は放っておけないぜ」

ソファに座る朝倉月乃は目元を赤く腫らし、まるで風に揺れる...

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