第52章

藤原司は立ち上がってぬるま湯を注ぐと、丁寧に温度を確かめ、彼女の後頭部を支えながらその唇へグラスを運んだ。

その優しさすら帯びた介抱に、沈川澪はひどい居心地の悪さを覚えた。彼の手から数口だけ飲むと、ぷいと顔を背ける。

「低血糖と急性肺炎だそうだ。安静が必要だと医者が言っていた」藤原司はグラスを置き、青ざめた小さな顔に視線を落とす。「何が食べたい? 用意させよう」

沈川澪は白み始めた窓の外を見つめ、うつろな目で答えた。

「……何でもいいわ」

藤原司は何も言わず、立ち上がって病室を出ていった。

三十分ほど経った頃。彼は上品な保温容器をいくつか提げて戻ってきた。

蓋を開けると、豊かな...

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