第67章

彼女の顔に、衝動や当てつけの痕跡が少しでもないかと、彼は穴のあくほど見つめた。

ここ数日の冷戦も拒絶も、気を引くための駆け引きにすぎないと思っていたのだ。

だが、何もなかった。

沈川澪は髪を拭く手をぴたりと止め、タオルを置いた。

彼の視線を真っ直ぐに受け止める。その澄んだ瞳の奥にあるのは、荒涼とした静寂だけだった。

「ええ」迷いのない声が、静まり返った寝室に響く。「本心よ。絶対に後悔しない」

その言葉は鈍ら刀のように、藤原司の心臓を容赦なく抉った。

彼は弾かれたように立ち上がる。長身が鋭い風を巻き起こした。一刻も早く関係を断ち切りたがる彼女の姿に、胸の奥で得体の知れない怒りが、...

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