第78章

少し迷った末、彼女はバッグからスマホを取り出し、その番号を探して発信した。

コール音が長く鳴り続け、ようやく通話がつながる。

「もしもし」男の声には色濃い疲労が滲んでいたが、それでも人を寄せ付けない冷たさは健在だった。

「藤原司、私よ」沈川澪はスマホを握る手をわずかに強めた。「ニュース、見たわ。藤原グループの株価が……」

「なんだ、俺を笑いに来たのか?」藤原司が言葉を遮る。皮肉めいた口調だったが、かすかに息が上がっているのは隠しきれていない。

沈川澪は唇を引き結んだ。「そんな暇じゃないわ。今回のことは私が辞めたのが原因だし、私から釈明してもいい。それで株価が落ち着くなら……」

「...

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