第80章

藤原清子は沈川澪の手を引いてそばに座らせると、もったいぶって声を潜めた。

「澪、あんたは優しすぎるから、人に舐められるのよ」

沈川澪は困ったように微笑んだ。

「おばあ様、私は平気ですよ」

「平気なわけないでしょう! 最近、お茶飲み友達にショートドラマをいくつか勧められてね。ええと……『偽物令嬢と本妻の帰還』だったかしら。その本妻の堂々たるや、そりゃあ見事なものだったわ! あんたはお行儀が良すぎるから、あの朝倉月乃みたいな女に図に乗られるのよ」

いつも上品な藤原清子が、そんなドロドロの愛憎劇を見ているとは思いもよらず、沈川澪は思わず吹き出しそうになった。

「おばあ様、あれはただのお...

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