第83章

吐き気はまだ治まらない。彼がたった今、朝倉月乃の甘い腕の中から抜け出してきたばかりかもしれないのに、その同じ手で自分を抱こうとしている――そう考えただけで、全身に鳥肌が立った。

「俺が汚いとでも言いたいのか」藤原司も立ち上がった。その整った顔立ちは、照明の下でどこか凄みを帯びていた。「沈川澪、お前は神崎湊のために操を立てたくてたまらないらしいな」

「神崎湊は関係ないわ。あなたがひどく嫌な匂いをさせているだけ」沈川澪は深く息を吸い込み、無理やり自分を落ち着かせた。「藤原司、明日は大事な仕事があるの。あなたと口論している余裕はないわ。客室に行って。それか、私が出て行く」

彼女の瞳に浮かぶ隠...

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