第84章

沈川澪は円卓の最も端の席に座り、うつむいて静かに茶碗の白米を口に運んでいた。

まるで空気のように、そのテーブルに渦巻く喧騒と甘ったるい空気を自ら遮断している。

「澪、これ食べてみなよ。ハタの酒蒸し、美味しいよ」神崎湊が円卓を回し、その皿を彼女の前に止めた。声は穏やかで温かい。

沈川澪は顔を上げ、彼に向かって微笑んだ。

「ありがとう」

その光景は、藤原司の目にひどく目障りに映った。

朝倉月乃を連れてきたのは彼女を苛立たせるためだったのに、沈川澪は微塵も動揺を見せず、あろうことか神崎湊と親しげにやり取りをしている。

この、すべてが自分の手からすり抜けていくような感覚が、藤原司の胸の...

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