第87章

藤原司は自嘲気味に口角を歪めた。その瞳の奥には、挫折感と不満が色濃く滲んでいる。

「あいつは、俺の顔すら見ようとしない」

北下賢士へ視線を向ける。その深い瞳には、彼自身も気づいていない焦燥と戸惑いが微かに混じっていた。

「お前は女に詳しいだろう。どうすれば、あいつにあの考えを捨てさせられる?」

個室に数秒の沈黙が落ちる。

北下賢士は、ビジネスでは冷酷なまでに決断力が高いのに、恋愛となるとからきし駄目な親友を見つめ、手にしていたグラスをそっと置いた。

鼻で笑うと、切れ長の目から飄々とした色を消し、容赦なく言い放った。

「自業自得だな」

北下賢士は軽々しくそう吐き捨て、その目には...

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