第96章

藤原美和の言葉は単刀直入だった。

彼女は沈川澪を気に入ってはいるが、それ以上に藤原家の体面と利益を重んじていた。

「分かりました、お義母様」沈川澪は素直に頷いた。

食事会は別棟の広間で行われた。

席は終始、和やかな空気に包まれていた。

藤原司は普段の冷たさを微塵も見せず、甲斐甲斐しく世話を焼いた。

尋ねるまでもなく沈川澪の苦手な食材を的確に避け、殻を剥いたエビや骨を取った魚の身を彼女の皿に取り分ける。

沈川澪もそれを拒むことなく、微笑んで礼を言い、優しく従順な妻を完璧に演じきった。

二人の息はぴったりで、あの三年に及ぶ冷遇も、最近の張り詰めた空気も、まるで最初から存在しなかっ...

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