第4章
スマートフォンの画面に浮かび上がった、二十七万四千五百二円という数字をじっと見つめる。
こうして具体的な金額を目にすると、すべてが急に生々しい現実味を帯びてくるから不思議だ。これでどこへだって行ける片道切符が買える。小さなワンルームマンションを数ヶ月借りられる。いっそ、新月市のような誰も知らない街へ行こうか。それとも、海外へ? 誰も私の出自を知らない、どこか遠い場所へ。
軋むソファベッドに腰掛けながら、すべてがめちゃくちゃになって以来初めて、私は本気で未来の計画を立てていた。
その時、星奈が隣にどさりと腰を下ろした。
「わあ、すごい大金。何に使うの?」
私は、それが実の両...
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