第162章 それで彼らは今、離婚したのか?

車の窓が下り、見慣れた顔が現れる。

 秋月雫は目を丸くした。思考が追いつくよりも先に、唇がその名を紡いでいた。

「お祖母様……」

 九条家の人間の中で、唯一彼女に優しく接してくれるのが九条の大奥様だった。

 どんな時でも真っ先に雫の心情を案じ、本当の孫のように可愛がってくれた人だ。

「雫、本当に……お前なのかい?」

 九条の祖母は以前よりもめっきりと老け込んで見えた。瞳は濁っていたが、その慈愛に満ちた笑みだけは変わらない。

「生きていると聞いた時は、誰かが私を担いでいるのかと思ったよ。まさか本当だったなんてね」

「お祖母様」

 秋月雫はたまらずその胸に飛び込み、涙をこぼした...

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