第165章 彼に車を一台ねだっても過分ではない!

九条時夜の氷のような視線に見慣れている加賀和成にとって、今の秋月雫の眼差しなど、本来であれば恐るるに足りないはずだった。

 だが、その冷ややかな一瞥。

 骨の髄まで凍りつくような感覚は、九条時夜のそれと瓜二つだ。

 ほんの数秒間、彼は思わず九条時夜と秋月雫の姿を重ね合わせてしまったほどだ。

 しかし、かつての秋月雫の姿を思い出せば、多少気丈になったところで何になるというのか。

「俺はただ……」

 彼はさりげなく高杉蓮に視線を走らせ、再び秋月雫を見据えた。

「あんたが昔、九条社長に付き纏っていたのは純愛なんかじゃなく、権力にすがりつくための玉の輿狙いだったんだろうと言いたいだけだ...

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