第169章 出て行く

怒っているのだろうか?

 秋月雫は片方の眉を跳ね上げた。

 数年経っても、相変わらず気性の激しい男だ。

 彼の連絡先を登録していなかったことが、それほど大ごとなのだろうか。

 彼女がこうして彼に会いに来たこと自体、今の彼女――白川ゆらにとっては面白くないはずだ。

 もし雫が九条時夜の番号を登録していたと知れば、それこそ白川ゆらは天地がひっくり返るほどの大騒ぎをするに違いない。

 秋月雫は口をへの字に曲げながらエレベーターを降りた。すれ違いざま、白川ゆらが冷ややかな声を投げかけてくる。

「あなたが何のために来たのか知らないけれど、思い通りにさせるつもりはないわ」

 雫に口を挟む...

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