第171章 証拠を出せないのは、ないからか?

「条件とは?」

 秋月雫よりも激しい反応を見せたのは、白川ゆらだった。

 その表情は強張り、顔の筋肉が引きつって歪みさえしていた。

 だが、誰も彼女に視線を向けていなかったため、その変化に気づく者はいなかった。

 九条時夜と秋月雫の視線が交錯する。男の瞳の奥には、獲物を逃さないという鋭い光が宿っていた。

「九条グループで働け」

「お断りします」

 秋月雫は考える間もなく、即座に拒絶した。

 三年間の結婚生活。愛していた薬学の研究を捨て、彼のために法学を学んだ。

 その結果がこれだ。

 白川ゆらという不倫相手のために名誉毀損訴訟を戦い、離婚の手続きに詳しくなっただけ。

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