第221章 そんなことをしたら彼女を破滅させてしまう!

「白川さん」

 秋月雫の声は凪のように静かで、その唇には微かな笑みさえ浮かんでいた。

「誰かに言われたことはありませんか? 泣き顔が美しいって」

 緒方ハルは虚を突かれたように固まった。なぜ今、そんなことを言われるのか理解できないという顔だ。

 雫は相手の動揺も沈黙も意に介さず、淡々と言葉を継ぐ。

「きっとご自覚があるんでしょう。そうでなければ、思い通りにいかない時はいつも、そうやって可憐に泣いてみせるわけがありませんもの」

「どういう意味?」

 緒方ハルの眉間に皺が寄り、瞳の奥に複雑な感情が走る。

 部屋に降り注ぐ陽光は残酷なほど明るく、それぞれの表情を鮮明に映し出す。

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