第222章 私のしつけが悪かった

緒方ハルは息を呑み、思わず一歩後ずさった。秋月雫の視線から逃れるように、ふいと顔を背ける。

「嫌ですか?」

 秋月雫は相手の動揺など意に介さず、口元に微かな笑みを浮かべた。

「私を陥れた人間のために、どうして私が譲歩しなければならないんです?」

「雫、あの子のためじゃない、私のためなのよ。母親が毎日胸を痛めるのを、あなたは平気で見過ごせるというの?」

 緒方ハルの瞳が赤く染まり、二筋の涙が頬を伝った。

「白川さん、泣き顔もお綺麗ですね。……でも、ご夫婦の仲はあまりよろしくないようで」

 決して大きな声ではない。だがその言葉は、まるで鋭利な矢のように空気を裂き、その場に重苦しい沈...

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