第224章 九条社長の心変わり

まずい!

 秋月雫は、この世にこれほど多くの偶然が重なるとは思っていなかった。

 酒臭い男に抱きつかれ、しかもそれを大勢の記者に激写されるなどという事態は、まさに悪夢だ。

 世の中には、どう弁明しても潔白を証明できないことがある。

 自分自身が世間からどう見られようと構わない。だが、秋月伸司と秋月朝香の二人がどう見られるかを考えないわけにはいかなかった。

 彼女は一歩横へ退いた。足首を挫くのも厭わず、目の前の男から逃れようとする。

 だが、バランスを崩して倒れそうになったその瞬間、腰を強い力で支えられ、温かい懐へと引き寄せられた。

「怪我はないか?」

 頭上から九条時夜の声が...

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