第235章 彼らさえいれば、それで十分だ

 菊仲静の顔に、気まずさの色は浮かばなかった。

「秋月さん、私は貴女の護衛です。ですが、九条社長は私の雇い主。彼に隠し事をするわけにはいきません。ましてや今回の件は、貴女の身の安全に関わることですから」

 秋月雫は、アニメに夢中になっている秋月伸司と秋月朝香に一瞥をくれてから、緩やかに口を開いた。

「どうして、あの人たちが私の脅威になると?」

「あの白川という女性、どこかおかしいのです」

 理由としては弱く、何も言っていないに等しい。

 だが、数回会っただけの菊仲静でさえ、白川ゆらの異変に気づいている。

 ビジネスの世界では冷徹なまでに切れ者である九条時夜が、少しも見抜けていな...

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