第238章 彼は彼が残ることを許さない

背丈の拮抗した二人の男が対峙し、その瞳には互いへの敵対心が激しく火花を散らしている。

 その張り詰めた空気を誰よりも先に感じ取ったのは、彼らの間に挟まれている秋月雫だった。

 彼女は瞬時に思考を巡らせ、九条時夜の腕の中から飛び降りようと身をよじった。

 だが、彼女を抱きかかえる彼の腕は盤石で、微動だにしない。それどころか、彼は頭を下げ、彼女の耳元で低く囁いた。

「暴れるな。落としたくない」

 たとえその姿が見えずとも、今の二人がどれほど親密な体勢にあるかは容易に想像できた。

 秋月雫の顔に、気まずさが広がる。

 如月海との交際を承諾したわけではない。けれど、九条時夜を許さないと...

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